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ゴーギャンの生涯と作品

イギリスの作家サマセット・モームは、「画家ポール・ゴーギャンの伝記から暗示を受け」て書き上げた小説『月と6ペンス』を1919年(*大正8年)に発表しました。(中略)

株式仲売人としての安定した生活はおろか、妻子までも投げ出してしまって、エゴイスティックに芸術に殉じた一人の男の姿は、確かに我々の胸のうちに偏在するある渇望に答えてくれるものであるに違いありません。しかし、この一編を注意深く読んだ人なら、時には”通俗作家”とも呼ばれるこの小説の作者が、ストーリーの面白さのかたわら、人々に否応もなくおしせまって来る喜びや悲しみ、それに対して矛盾にみち、複雑くわまりない生き方を見せる一人の人間の性格や、永遠の謎としか言いようのない芸術家の魂についても忘れずに語っているのに気づくはずです。

ーー『ゴーギャン 異郷に結実した憧れの軌跡』(美術文庫27/TSURU SHOBO)